競技規則の改訂によって幼児、小学校低学年(幼稚園~小学校1,2年生)に関しコンタクトプレーがないタグラグビーが導入されることになった。
*2018年度は移行期間。2019年4月から実施
この通達は日本ラグビー界にとって,大きな変革だと思われる。
まずは経緯にあたっての記載があるが、読み解くと以下。
- ラグビー強豪国のニュージーランド、イングランド、オーストラリアなどの幼児、低学年はコンタクトプレー無し(全てタグ)
- コンタクトプレーは、万が一の事故時に、自分の受傷の状態を伝える事が難しかったり、体格差のある相手と対峙した際、想定される危険に対応が出来ない可能性がある。すなわち安全面を配慮した
- ラグビーに興味を持った子供に対し、安全性を確保しながら、ラグビーについて理解してもらう
そしてタグ導入の利点に関しての要約は以下。
- コンタクトプレーが発生しないため、ランニングスキルとハンドリングスキルの向上につながる
- 体格差に関係なく全てのプレイヤーに平等に活躍の場が与えられる。
- (ボールの争奪を除いた)ラグビーの原則を安全に学べる
*前進→支援→継続→圧力→得点
筆者のラグビースクール指導歴(約8年)の経験という視点から、この「変革」について述べたいと思う。
練習のある風景。大人がハンドダミーを持ち、そこに全速力でヘッドキャップをかぶった小さな子供が突っ込む。
試合でも時々おこる子ども同士の「正面衝突」。
私も8年前、愚息が幼児だったためお父さんコーチとして携わっていたが、「正面にあたる」という練習が子供たちに与えられているスペースを大きく損なわせ、ステップをきって相手を抜く、という選択肢を奪っているように感じていた。
そして、楽しさよりぶつかる恐怖が先にきてしまい、次第にラグビーから遠ざかっていく子どもも0ではなかった。
ただ、感じてはいても、異を唱える発想もなく行動も起こせずにいた。
一方でタグラグビー。
こちらも経験しているが、とにかく走る。
コンタクトが発生しないため、スピーディに試合は展開され、ラグビーのように体格で優位性が決まることはない。
全ての選手が同じ条件で参加できる、そんなスポーツである。
「幼児がラグビーを安全に、楽しくてしょうがない、と思ってほしい」
「ずっとラグビーを続けてほしい」
そう思い続けていたが、その答えが今回のタグラグビー導入だと思う。
また、この変化に伴い、現場の指導側にもこれまでとは変わることが予想される。
コンタクトプレーが発生しないため、コーチングとしては、以下の指導スキルが必要になってくると思われる。
<アタック>
- ギャップを見つけるスキル(スペースを見つける)
- そのギャップにトップスピードで走りこむスキル(ゲインするスキル)
- わずかなギャップでも抜くステップワーク(タグを取られないスキル=タックルされない)
- パススキルとハンドリングスキル(スピードパス、浮かしパスの使い分けとハンドリング)
<ディフェンス>
- 相手に走られないようにスペースを埋める(ワンライン形成のディフェンススキル)
- 動いている相手のタグを正確に取るスキル(相手をしっかりウォッチするスキル)
どれもラグビーに直結する大事なスキルだと著者は思う。
特にアタック時の「トップスピードで走りこむ」は、経験上、成長するにつれて簡単には身につかず(そういう癖がない)、幼少期に是非とも自然に身に付くと良いスキルであろう。
コーチも、今からタグラグビーについてしっかり学び、今回の改訂が日本ラグビーの明るい未来の礎となることを願ってやまない。
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